化学兵器用の薬剤を“色"で判定する、CBRN対策向け高感度検知管
主要な化学剤をカバー
化学剤(CWA)、有毒工業化学物質(TIC)の2シリーズ、全22種類を提供。
神経剤(G/V)、マスタード、ホスゲン・シアン系、催涙剤、BZ など、警察、消防、自衛隊、CBRN 対策現場で必要とされる化学兵器用の薬剤、有毒化学物質を網羅しています。
高感度で検出
検知管は、数 mg/m3レベルを検知できる感度があります。
特に神経剤検知管は、化学反応・生化学反応を利用し、神経剤を総合的に検知できます。
化学剤・有毒工業化学物質の検出で明確に色が変化し、誰でも視覚的に判定できます。
電源不要
電源不要・どこでも使えるシンプル操作です。
使い方は、検知管の両端を折り、ハンドポンプで空気を吸引。色の変化を見るだけで判定可能。
低温時(10℃以下)は市販使い捨てカイロで温めることもできます。
5年保管
保管寿命は5年です。
Hg・Os など有害物質を使用しない環境配慮型の検知管です。
訓練用シミュレーション管(STシリーズ)は模擬剤です。実剤を使わず実運用に近い訓練を行えます。
自治体・自衛隊・消防・警察・CBRNラボ車両など幅広いユーザーに対応した設計です。
CBRN対策検知管
検知管は、吸引した空気中の化学兵器用の薬剤(化学剤)に反応し、指示層の色変化で有無を判定します。
CBRN(CWA)向けの化学剤検知管シリーズと、TIC(有毒工業化学物質)検知管シリーズを用途別に整理しました。
化学剤(CWA)検知管シリーズ
神経剤
DT10 G剤 神経剤検知管
| 化学剤: | G剤, GA, GB, GD, GF, GP, GV | ||||||
| 感度: | 0.5 mg/m3 | ||||||
| 識別: |
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| 色変化: |
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| 仕様: | 化学剤検知管 DT10 |
DT10 は、G 系神経剤に特化した検知管です。アミノペルオキシド反応に基づく化学反応を利用し、指示層の色変化によって有無判定を行います。
操作がシンプルで、現場における迅速な一次確認に適しており、G 系神経剤の初動検知用途として使用されます。
DT11 神経剤 総合検知管
| 化学剤: | G剤, GV剤, V剤, ノビチョク, GA, GB, GD, GF, GP | ||||||
| 感度: | 0.05 mg/m3 | ||||||
| 識別: |
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| 色変化: |
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| 仕様: | 化学剤検知管 DT11 |
DT11 は、G 系および V 系を含む神経剤を総合的に検知できる検知管です。アセチルコリンエステラーゼ阻害に基づく生化学的検出方式を採用しています。
微量の神経剤にも高い感度で反応し、神経剤の種類を限定しない初動スクリーニングに適しています。
血液剤・窒息性剤
DT12 血液剤・窒息剤検知管
| 化学剤: | CG(DP), CK, AC, ホスゲン, ジホスゲン, 塩化シアン, シアン化水素 | ||||
| 感度: | 5 mg/m3 | ||||
| 識別: |
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| 色変化: |
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| 色変化: |
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| 色変化: |
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| 仕様: | 化学剤検知管 DT12 |
DT12 は、血液剤および窒息剤に分類される化学剤を対象とした検知管です。ホスゲンおよびジホスゲン、塩化シアン、シアン化水素の検出に対応しています。
検知管内部には 3 層の指示層が配置されており、上層でホスゲン類、中央層で塩化シアン、下層でシアン化水素を検出します。それぞれ異なる化学反応系に基づき、指示層ごとに特有の色変化を示します。
びらん性剤(マスタード系)
DT13 びらん剤(マスタード)検知管
| 化学剤: | H, HD, HN, マスタード, ナイトロジェンマスタード | ||||||
| 感度: | 1 mg/m3 | ||||||
| 識別: |
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| 色変化: |
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| 仕様: | 化学剤検知管 DT13 |
DT13 は、硫黄マスタードおよび窒素マスタード系のびらん剤を対象とした検知管です。硫黄マスタード(H, HD)およびナイトロジェンマスタード(HN)の検出に対応しています。
検知は、4-(p-ニトロベンジル)ピリジンとのアルキル化反応に基づいて行われます。試薬アンプルを破砕して指示層に浸透させることで、指示層が青色へ変化します。
DT15 びらん剤(マスタード)検知管
| 化学剤: | H, HD, 硫黄マスタード | ||||||
| 感度: | 3 mg/m3 | ||||||
| 識別: |
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| 色変化: |
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| 仕様: | 化学剤検知管 DT15 |
DT15 は、硫黄マスタード(H, HD)に特化したびらん剤用検知管です。蒸気状マスタードの存在を、指示層の色変化によって検知します。
検知は、マスタードと 4,4′-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンおよび過塩素酸マグネシウムとの付加錯体形成に基づいて行われ、指示層は黄色からオレンジ色(条件により赤色)へ変化します。
DT16 ナイトロジェンマスタード
| 化学剤: | HN-1, HN-2, HN-3, ナイトロジェンマスタード | ||||||
| 感度: | 1 mg/m3 | ||||||
| 識別: |
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| 色変化: |
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| 仕様: | 化学剤検知管 DT16 |
DT16 は、ナイトロジェンマスタード(HN 系)に特化した検知管です。HN-1、HN-2、HN-3 の各タイプを対象としています。
検知はドラゲンドルフ試薬との反応に基づいて行われます。アンプルを破砕して試薬を指示層に浸透させることで、指示層が黄色からオレンジ色へ変化します。
ヒ素系化学剤
DT14.1 ルイサイト検知管
| 化学剤: | L, ルイサイト | ||||||
| 感度: | 1 mg/m3 | ||||||
| 識別: |
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| 色変化: |
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| 仕様: | 化学剤検知管 DT14.1 |
DT14.1 は、ルイサイト(L)に特化した検知管です。他のヒ素系化学剤やルイサイト類似体に対して反応しない高い選択性を有します。
検知は、ルイサイトの加水分解により生成したアセチレンと、改良型ロスベイ(Llosvay)試薬との反応に基づいて行われます。アンプル内の水酸化ナトリウム溶液を指示層に浸透させることで、指示層が白色からピンク色へ変化します。
無力化剤
DT20 BZ(無力化剤)検知管
| 化学剤: | BZ, キヌクリジルベンザレート | ||||||
| 感度: | 1 mg/m3 | ||||||
| 識別: |
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| 色変化: |
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| 仕様: | 化学剤検知管 DT20 |
DT20 は、無力化剤である BZ(キヌクリジルベンザレート)を対象とした検知管です。既知の化学剤の中で、BZ に特有の色変化を示します。
検知はマルキス(Marquis)試薬との反応に基づいて行われます。アンプルを破砕して試薬を指示層に浸透させることで、指示層が白色から緑~青色へ変化します。
催涙剤
DT21 CN(催涙剤)検知管
| 化学剤: | CN, クロロアセトフェノン | ||||||
| 感度: | 0.5 mg/m3 | ||||||
| 識別: |
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| 色変化: |
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| 仕様: | 化学剤検知管 DT21 |
DT21 は、催涙剤である CN(クロロアセトフェノン)を対象とした検知管です。空気中の CN 蒸気を、指示層の明瞭な色変化によって検知します。
検知は、m-ジニトロベンゼンとのツィンメルマン反応に基づいて行われます。アンプル内の水酸化ナトリウム溶液を指示層に浸透させることで、指示層が白色からラズベリーレッドへ変化します。
DT22 CS(催涙剤)検知管
| 化学剤: | CS, クロロベンジリデンマロノニトリル | ||||||
| 感度: | 1 mg/m3 | ||||||
| 識別: |
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| 色変化: |
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| 仕様: | 化学剤検知管 DT22 |
DT22 は、催涙剤である CS(クロロベンジリデンマロノニトリル)を対象とした検知管です。空気中の CS を、指示層の色変化によって検知します。
検知はクロラニルとの反応に基づいて行われます。アンプル内の水酸化アンモニウムとエタノールの混合溶液を指示層に浸透させることで、指示層が白色から紫色へ変化します。
DT27 CR(催涙剤)検知管
| 化学剤: | CR, ジベンゾオキサゼピン | ||||||
| 感度: | 0.1 mg/m3 | ||||||
| 識別: |
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| 色変化: |
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| 仕様: | 化学剤検知管 DT27 |
DT27 は、催涙剤である CR(ジベンゾオキサゼピン)を対象とした検知管です。CR に特異的な反応を示し、微量濃度での検知に対応しています。
検知はジアゾカップリング反応に基づいて行われます。CR がジアゾ化試薬として作用し、生成したジアゾニウム塩がブラットン・マーシャル試薬と結合して特徴的なアゾ染料を形成することで、指示層が白(やや黄)から赤~紫色へ変化します。
TIC 検知管シリーズ(有毒工業化学物質)
窒息性・刺激性ガス
DT001 ホスゲン検知管
| 化学物質: | ホスゲン(COCl2), ジホスゲン | ||||||
| 感度: | 0.5 mg/m3 | ||||||
| 識別: | DT001 COCl2 | ||||||
| 色変化: |
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| 仕様: | 有害工業化学物質検知管 DT001 |
DT001 は、有害工業化学物質(TIC)であるホスゲンを対象とした検知管です。空気中のホスゲンおよびジホスゲンを、指示層の色変化によって検知します。
検知は、4-(p-ニトロベンジル)ピリジンとの反応に基づいて行われ、四級アンモニウム塩の生成により、指示層が黄色から赤色へ変化します。
DT003 塩素検知管
| 化学物質: | 塩素(Cl2) | ||||||
| 感度: | 3 mg/m3 | ||||||
| 識別: | DT003 Cl2 | ||||||
| 色変化: |
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| 仕様: | 有害工業化学物質検知管 DT003 |
DT003 は、有害工業化学物質(TIC)である塩素を対象とした検知管です。空気中の塩素を、指示層の色変化によって検知します。
検知は、塩素が臭化カリウムと反応して生成する臭化物が、フルオレセインと反応することにより赤色を呈する反応に基づいています。
DT004 酸化窒素類検知管
| 化学物質: | 酸化窒素類(NOx) | ||||||
| 感度: | 2 mg/m3 | ||||||
| 識別: | DT004 NOx | ||||||
| 色変化: |
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| 仕様: | 有害工業化学物質検知管 DT004 |
DT004 は、有害工業化学物質(TIC)に分類される酸化窒素類(NOx)を対象とした検知管です。空気中の NOx を、指示層の色変化によって検知します。
検知は、酸化窒素類がヨウ化カリウムと反応してヨウ化物を生成する反応に基づいており、指示層が白色から黄色~茶色へ変化します。
DT005 二酸化硫黄検知管
| 化学物質: | 二酸化硫黄(SO2) | ||||||
| 感度: | 5 mg/m3 | ||||||
| 識別: | DT005 SO2 | ||||||
| 色変化: |
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| 仕様: | 有害工業化学物質検知管 DT005 |
DT005 は、有害工業化学物質(TIC)である二酸化硫黄(SO2)を対象とした検知管です。空気中の二酸化硫黄を、指示層の色変化によって検知します。
検知は、二酸化硫黄がエルマン試薬と反応して有色のチオラートを生成する反応に基づいており、指示層が白色から黄色へ変化します。
シアン化合物
DT002 シアン系検知管
| 化学物質: | シアン化水素(HCN), 塩化シアン(CK) | ||||||
| 感度: | 3 mg/m3 | ||||||
| 識別: | DT002 HCN / CK | ||||||
| 色変化: |
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| 色変化: |
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| 仕様: | 有害工業化学物質検知管 DT002 |
DT002 は、有害工業化学物質(TIC)であるシアン化水素(HCN)および塩化シアン(CK)を対象とした検知管です。空気中のシアン系化合物を、指示層の色変化によって検知します。
シアン化水素は、ピリジン存在下で 4-ニトロベンズアルデヒドと反応し有色のベンゾインを生成します。塩化シアンは、ケーニッヒ反応によりピリジンおよびジメドンと反応し、ポリメチン染料を生成することで発色します。
腐食性・刺激性(酸・アルカリ)
DT009 塩化水素検知管
| 化学物質: | 塩化水素(HCl) | ||||||
| 感度: | 10 mg/m3 | ||||||
| 識別: | DT009 HCl | ||||||
| 色変化: |
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| 仕様: | 有害工業化学物質検知管 DT009 |
DT009 は、有害工業化学物質(TIC)である塩化水素(HCl)を対象とした検知管です。空気中の塩化水素を、指示層の色変化によって検知します。
検知は、塩化水素がアルカリと反応して生じる pH 変化を、メチルオレンジを含む酸塩基指示薬によって示す方式です。指示層は、メチルオレンジを含浸させたシリカゲル 1 層で構成されています。
DT008 アンモニア検知管
| 化学剤: | アンモニア(NH3) | ||||||
| 感度: | 50 mg/m3 | ||||||
| 識別: | DT008 NH3 | ||||||
| 色変化: |
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| 仕様: | 有害工業化学物質検知管 DT008 |
DT008 は、有害工業化学物質(TIC)であるアンモニア(NH3)を対象とした検知管です。空気中のアンモニアを、指示層の色変化によって検知します。
検知は、アンモニアとリン酸との反応による pH 変化を、臭素クレゾールグリーンを含む酸塩基指示薬で示す方式です。検知管は、臭素クレゾールグリーン、リン酸、グリセリンを含浸させたシリカゲルの指示層 1 層で構成されています。
還元性・有毒ガス
DT006 硫化水素検知管
| 化学物質: | 硫化水素(H2S) | ||||||
| 感度: | 5 mg/m3 | ||||||
| 識別: | DT006 H2S | ||||||
| 色変化: |
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| 仕様: | 有害工業化学物質検知管 DT006 |
DT006 は、有害工業化学物質(TIC)である硫化水素(H2S)を対象とした検知管です。空気中の硫化水素を、指示層の色変化によって検知します。
検知は、硫化物が銅イオンと反応して有色の硫化銅を生成する反応に基づいています。検知管は、酢酸銅を含浸させたシリカゲルの指示層 1 層で構成されています。
DT011 一酸化炭素検知管
| 化学物質: | 一酸化炭素(CO) | ||||||
| 感度: | 30 mg/m3 | ||||||
| 識別: | DT011 CO | ||||||
| 色変化: |
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| 仕様: | 有害工業化学物質検知管 DT011 |
DT011 は、有害工業化学物質(TIC)である一酸化炭素(CO)を対象とした検知管です。空気中の一酸化炭素を、指示層の色変化によって検知します。
検知は、三価鉄が二価鉄へ還元され、o-フェナントロリンと有色錯体を形成する反応に基づきます。検知管は、塩化鉄を含浸させたシリカゲルの指示層 1 層と、o-フェナントロリンのエタノール溶液を封入したアンプル 1 本で構成されています。
有機溶剤・工業薬品
DT010 ホルムアルデヒド検知管
| 化学物質: | ホルムアルデヒド(HCHO) | ||||||
| 感度: | 0.5 mg/m3 | ||||||
| 識別: | DT010 HCHO | ||||||
| 色変化: |
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| 仕様: | 有害工業化学物質検知管 DT010 |
DT010 は、有害工業化学物質(TIC)であるホルムアルデヒド(HCHO)を対象とした検知管です。空気中のホルムアルデヒドを、指示層の色変化によって検知します。
検知は、ホルムアルデヒドが特定の試薬と反応して有色の 6-メルカプト-5-トリアゾール-(4,3-b)-s-テトラジンを生成する反応に基づいています。検知管は、クロモゲン試薬を含浸させたシリカゲルの指示層 1 層と、10% 水酸化ナトリウム溶液中の過塩素酸ナトリウム飽和溶液を封入したアンプル 1 本で構成されています。
DT007 二硫化炭素検知管
| 化学剤: | 二硫化炭素(CS2) | ||||||
| 感度: | 20 mg/m3 | ||||||
| 識別: | DT007 CS2 | ||||||
| 色変化: |
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| 仕様: | 有害工業化学物質検知管 DT007 |
DT007 は、有害工業化学物質(TIC)である二硫化炭素(CS2)を対象とした検知管です。空気中の二硫化炭素を、指示層の色変化によって検知します。
検知は、二硫化炭素が銅イオンおよびピペラジンと反応し、着色した銅ジチオカルバメートを生成する反応に基づいています。検知管は、酢酸銅およびピペラジンを含浸させたシリカゲルの指示層 1 層で構成されています。
検知管の使い方
検知管の使い方は、それぞれ少しだけ異なります。 ここでは大部分の検知管で共通の使い方をご紹介いたします。
検知管の構造を知る
検知管には向きがあり、識別マークが付いた方が常に「上」です。
(1) 識別マーク
検知管は22種類あります。異なる検知管を区別するために、赤1本線、黄色3本線といった検知管を区別するための色ラベルが付いています。
(2) アンプル
アンプルはガラス封入された液体試薬です。検知管の使用手順に従ってアンプルのガラスを割って試薬を混ぜ合わせます。
(3) 支え
支えは、指示層である薬剤を支えているセルロース層です。星形のプラスチックでアンプル内の薬剤が隙間を通過できる構造です。
(4) 指示層
指示層は、結晶体や固形の化学薬剤です。検知する結果を色変化で表示する部分です。
上下の確認
検知管には向きがあり、識別ラベルが付いた方が常に「上」です。 ポンプとつなぐときは、「下」側がポンプへ差し込みます。
検知管を温める(10°C以下の場合)
検知管の指示層は、化学反応による色変化で有害物質を判定します。 ただし、周囲温度が 10°C以下になると反応が遅くなり、正しい色変化が得られない場合があります。
低温環境では、検知管を 軽く温めてから使用してください。 温めには 市販のカイロを使用できます。検知管セットにもカイロが付属しています。
検知管を温めるタイミング
- 検知管を使う前
- 検知管にポンプで空気を送り込んだ後
使い方は箱に印刷されています
有効期限の確認
有効期限を確認してください。 製造から5年間、利用できます。 10℃以下で検知管を使用する場合は、ポンプを使う前後で使い捨てカイロなどをで温めてください。

検知管の種類の確認
検知管の種類を確認してください。 検知管は黄色3本線や、赤2本線など帯色で 検知管を区別できます。

検知管の使い方の確認
箱の説明文を読めば使えるようになっています。検知管ごとに説明が違うため、使う前に手順を理解してください。

検知管の両端を折る
検知管は、両端がガラスで密封された構造になっており、そのままでは内部を空気が通過できません。
化学剤を検知するためには、検知管オープナーを使って両端のガラス封止を安全に折り、管内に空気の通り道を作る必要があります。

検知管のガラスを割って開封する際に細かいガラスの破片が出てきます。安全のため、化学物質に対応したゴム手袋をご利用ください。
検知管オープナーの使い方
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検知管の両端を折る(オープナー上部の穴を使用)
オープナー上部の丸穴に検知管を差し込み、ねじりながらガラス封止された両端を順番に折ります。 これにより、ポンプで吸引した空気が検知管内部を通過できる状態になります。
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検知管内部のアンプルを割る(底部の穴と串を使用)
検知管には、化学反応を起こすための液体試薬が入ったアンプルが内蔵されています。 オープナー底部の穴に検知管を挿入し、付属の串(ピン)を使って 内部のアンプルを割ります。
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アンプルを割るタイミング
割るタイミングは、検知管の種類ごとに異なります。詳細は 検知管の箱に記載されている使用方法を必ずご確認ください。
- アンプルを割ってから空気を送るタイプ
- 空気を送った後にアンプルを割るタイプ
- 複数のアンプルを順番に割るタイプ
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清掃・ガラス片の除去
検知管はガラス製のため、両端を折る・アンプルを割る際に 微細なガラス片が内部に溜まることがあります。
検知管オープナーは、背面のネジを外すことで分解して清掃可能です。 定期的に分解し、内部のガラス片や粉じんを取り除いてください。
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交差汚染・クロスコンタミの防止
検知管オープナーのアンプルを割る串のところには、(赤)(黄)(無色)の3つの色ラベルが付いています。これはいろいろな検知管を使う場合に、アンプル内の試薬が相互に混ざり合うこと(コンタミ)を防ぐための目印です。検知管を使い始めるときに、どの串を使うか計画してください。


ポンプで空気を送る手順
検知管は、ポンプで空気を吸引し、検知管内部を通過させることで化学反応を起こす仕組みになっています。
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ポンプと検知管の接続
検知管には向きがあり、 識別マーク(黄色3本線など)が付いている側が「上側」です。検知管の下側(マークのない側)をゴムパイプでポンプと接続します。
- 上側:識別
- 下側:ポンプ接続側
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吸引量(ストローク数)
ポンプは 吸引式であり、引く動作によって空気が検知管内を通過します。 検知管セットの手動ポンプは、1ストロークで約100 mL(0.1 L)の空気を吸引します。検知管の種類によって必要な吸引量が異なります:
- 30ストローク(約3 L)- 化学剤・化学兵器(CWA)に対する検知管
- 10ストローク(約1 L)- 有毒工業化学物質(TIC) に対する検知管
必要なストローク数は、検知管の箱または説明書に記載されています。記載された吸引量を必ず守ってください。
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検知対象に向けて吸引
検知したい気体や蒸気(揮発物質)が存在する方向へ検知管の上側(識別)を向けて吸引を行います。吸引を続けることで、検知管内部の指示層に空気が通過します。
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清掃について(ガラス片の除去)
検知管はガラス製のため、両端を折る・アンプルを割る際に 微細なガラス片が内部に溜まることがあります。
検知管オープナーは、背面のネジを外すことで分解して清掃可能です。 定期的に分解し、内部のガラス片や粉じんを取り除いてください。
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検知管はポンプ吸引の前後で温める(重要)
10°C以下の環境では反応速度が低下するため、カイロ等で“ほんのり温かい程度"に保つことで正確な検知結果が得られます。
アンプルを破壊
検知管には、反応を進めるための液体試薬が入ったガラス製アンプルが内部に組み込まれています。
このアンプルを破壊して試薬を指示層(反応層)に浸み込ませることで、化学反応が正しく進行します。
まず検知管オープナー底部の穴と串(ピン)を使って、検知管内部のアンプルを破壊します。 串を軽く押し込むことで、内部のアンプルが簡単に割れます。

アンプル破壊後は、液体を指示層に振りかけてください。検知管の側面を、指で軽くトントンと叩けば液体が指示層へ落ちていきます。指示層全体へ均一に浸み込ませてください。大きく振る必要はありません。
- アンプル内の液体がこぼれるおそれがある
- 反応層に均一にかからず正しい測定値が得られない可能性がある
- ガラス片が内部で飛散する危険性がある
反応色の確認と判定について
吸引・アンプル破壊などの手順が完了したら、 検知管の指示層(反応層)の色変化を、適度に暖めながら観察します。
温度が低いと反応速度が遅くなるため、軽くカイロ等で温めると化学反応が進行します。
色変化の見え方
化学剤や有毒物質が存在した場合、 濃度に応じて指示層の色に濃淡や長さの違いが現れます。わずかな変色でも、化学剤の存在を検知できたことを意味します。
まったく変化がない場合は、検知されなかった(陰性)と判断します。 箱ラベルや付属の比較スケールに示された呈色例と見比べ、結果を読み取ってください。
検知管の役割(1次スクリーニングツールとして)
検知管は、現場で迅速に危険性を判断するための一次スクリーニング手段として非常に有効です。 しかし最終的な物質特定や定量を行うには、高度分析装置による再測定や、サンプルの採取とラボ分析、専門家による再評価が重要となります。
ORITEST 検知管の特長
空気中に危険な化学物質が存在するかを、色の変化で素早く確認できる検知管です。 初動対応や立入判断など、現場での一次確認に適しています。
| 対応物質 | 神経剤・マスタード剤・催涙剤などの化学剤から、 ホスゲン、塩素、アンモニアなどの有害ガスまで幅広く対応 |
|---|---|
| 操作方法 |
管を折る → 空気を吸引 → アンプルを破砕 → 色変化を確認 全シリーズ共通のシンプルな手順 |
| 判定方法 | 指示層の色の変化(呈色)により、危険物質の有無をその場で判断 |
| 選択性 | 物質ごとに専用設計された指示層を採用し、誤反応を抑制 |
| ポンプ対応 | 手動ポンプ・電動ポンプの両方に対応(規定吸引量で使用) |
| 使用環境 | 屋外や低温環境でも使用可能(必要に応じて軽い加温を推奨) |
| 用途 | 化学剤および有害工業化学物質の一次スクリーニング用途に最適 |
検知管の模擬剤(偽剤) - STシリーズ
実際の化学剤検知と同じ反応原理を安全に体験できる訓練用の模擬剤(Simulant Tube / ST シリーズ)が用意されています。模擬剤は危険性のない化学物質で構成されており、 消防・警察・自衛隊・企業の防災訓練やCBRN訓練で安全に使用できるよう設計されています。
訓練用の模擬剤は型番 ST が付いており、検知管DT-11に対する模擬剤はST-11 で同じ番号になっています。
訓練用模擬剤を使用する利点
- 安全(非毒性・非化学剤)
- 実剤と同じ化学反応を再現
- 操作手順(両端折り → アンプル破砕 → 吸引)をそのまま訓練可能
- 防護服を着用した“実務的訓練”に最適
- 検知管を体験できる
模擬剤は安全な試薬を含んでおり、模擬剤の管 - 検知管 - ポンプと 直列接続することで、検知管が実剤と同じ反応を示します。
訓練や検知管の練習に利用できます。
模擬剤
模擬剤を使用した神経剤検知管のトレーニング手順
サリン(GB)、ソマン(GD)、VX を検知できる DT11検知管を例に、模擬剤と組み合わせたCBRN初動対応向けの安全なトレーニング手順です。
- 検知管 DT-11 の識別ラベル(赤3本線)を確認します。
- 模擬剤 ST-11の識別ラベル(黒1本、赤1本線)を確認します。
- 検知管(DT-11)と模擬剤(ST-11)の両端を折る。オープナーで両端のガラス封止部を折り、両端を開封して空気の通り道を作ります。
- 検知管 DT-11 の白層側の内部アンプルを破砕する(酵素活性化)。
指示層(白層側)にある第1アンプルを割り検知管を軽く指で叩いて薬液を指示層(白層側)の側へ浸透させます。これにより酵素が活性化します。
- 模擬剤 ST-11の内部アンプルを破砕する。薬液を反応層側へ浸透させます。
- 手動ポンプを用意して、(ポンプ - 検知管DT11 - 模擬剤ST11)の順に直列接続します。最初に検知管 DT-11 を、その識別ラベル(赤3本線)
とは逆側をポンプ側に接続します。次に模擬剤の識別ラベル(黒1本、赤1本線)とは逆側を、検知管DT11につなぎます。接続には連結用のゴムチューブを使用します。
- ポンプで 1〜5 回吸引する。模擬剤は確実に反応する薬剤であるため、少ないストロークで十分反応します。模擬剤のガスが白層(活性化酵素層)を通過します。
- ここからは検知管 DT11 の使い方に従い、2 分待機してから比較層(黄色側)のアンプルを破砕する。アンプル破砕後、
薬液を2つの層(指示層、比較層)に均一に行き渡らせます
- 指で軽くトントンと叩いてください。アンプルの薬剤を両方の層に均等に行き渡らせます。
- さらに 2 分待機し、最終的な色変化を確認する
- 神経剤(模擬剤)の判定(判定濃度 0.05 mg/cm3)
- 指示層が白いまま → 神経剤あり(酵素阻害が起きて色素が破壊された)
- 指示層が黄色に変化 → 神経剤なし/低濃度
- 模擬剤は安全ですが、皮膚・目に触れないよう注意してください。
- 検知管はガラス製のため、破片に注意し、オープナーを定期清掃してください。
- 気温 10℃以下では反応が遅くなるため、吸引前後で検知管をカイロ等で軽く温めると反応が安定します。
製品の比較
化学剤検出装置の比較は、単純に性能値を並べただけでは判断できません。 装置の優劣は、運用目的や使用環境によって変わるためであり、状況によっては複数の検出手段を併用することが有効となる場合もあります。
以下の比較表は、代表的な検出装置について、いくつかの評価項目を整理したものです。 どの装置が「良い・悪い」という結論を示すものではなく、使用条件に応じた選定を検討するための参考資料としてご覧ください。
想定される使用条件には、固定設置、車載搭載、偵察用途、個人装備としての携行、長期連続使用、単回使用など、さまざまな運用形態があります。
なお、神経剤の検出感度に限って比較した場合、DETEHIT は最も高感度な検出手段の一つと位置付けられます。
| パラメータ | IMS | CALID-3 | CBRN検知管 | DETEHIT | コメント |
|---|---|---|---|---|---|
| 製品リンク | IMS検出器 GTD-SII | 検知紙 CALID-3 | CBRN検知管 | 神経剤検知紙 DETEHIT | |
| 神経剤の検出 | 可 | 可 | 可 | 可 | CALID-3 と IMS は、異なるレベルで識別可能。 |
| ノビチョク Novichok/Новичо́к(A-series)対応 | 可 | 可 | 可 | 可 | 検知管、神経剤検知紙 DETEHITは、ノビチョクを検知可能だが、他の神経剤を区別はできない。 |
| 感度(Sensitivity) | 3 | 2 | 1 | 1 | CALID-3 の感度は、検出可能な最小液滴量として比較。 |
| 識別能力(Selectivity) | 2 | 2 | 1 | なし | 神経剤検知紙 DETEHITは アセチルコリンエステラーゼ(ache)阻害剤のみを対象として設計され、神経剤同士の区別はできない。 |
| 誤警報(False Alarm) | 3 | 2 | 1 | 1 | |
| 応答時間(Response Time) | 1 | 2 | 3 | 3 | |
| 重量(Weight) | 4 | 1 | 1 | 1 | |
| 個人装備として携行可能か | 4 | 1 | 1 | 1 | |
| 訓練必要量(Training Needed) | 4 | 1 | 1 | 1 | 各製品はパッケージの説明を読むだけで使用可能。 |
| 費用 | 4 | 1 | 1 | 1 | |
| カタログ |
比較:(可 = 可能 / 1 = 良い / 4 = 劣る、ただし「劣る」は相対比較であり、装置が悪いという意味ではありません)
OPCW(化学兵器禁止機関)
OPCWによるOritest 社の製品・検出紙 CALID3 の紹介動画です。
OPCW(化学兵器禁止機関)の主な任務は、化学兵器の廃絶とその再利用の防止です。 加盟国が保有する化学兵器の申告と廃棄作業を監視し、必要に応じて現地査察を行います。 また民間用の化学品製造施設が兵器転用されていないかを確認するため定期的な査察も実施しています。
Oritest 社
チェコの化学剤検出技術メーカーです。
チェコ共和国は、チェコ ― NATO CBRN防護の中核であり、NATOにおけるCBRN(化学・生物・放射線・核)防護の中心的な国のひとつとして広く知られています。その理由は、ヴィシュコフ(Vyškov)に本部を置く NATO CBRN Defence Centre of Excellence(NATO CBRN防護センター) の存在にあります。同センターは、NATO加盟国の専門家が集まり、CBRNに関する研究、訓練、装備開発、標準化を推進する国際的な中枢機関です。
Oritest 社は1992年、チェコスロバキアで化学兵器防護に対する知識や経験を持つ一流の化学者チームによって設立されました。当社の株主構成はチェコ国民とチェコの金融資本のみから資金提供を受けています。ORITESTの研究員は化学兵器の検出に関して80件を超える特許を保有しています。特に重要なのはコリンエステラーゼに関する特許と、神経ガス検出器での使用されている一連の特許群です。当社は継続的な研究開発方針を通じて世界中の行政機関、軍隊、研究機関に化学剤防護製品を提供しています。
また Oritest 社は、NATO 商用・政府調達コードである NCAGE(0004G) に正式登録されています。NCAGEコードは NATO 加盟国を含む国際的な政府調達で使用される企業識別番号であり、製品の信頼性、品質管理、真正性、トレーサビリティが国際基準で保証されていることを示します。この登録により、Oritest 社の検知紙・検知管・CBRN装備は、世界各国の軍隊・警察・消防・防護組織で広く採用されています。
開発実績
チェコ共和国 技術庁(Technology Agency of the Czech Republic)EPSILON プログラムからの資金援助により開発が推進されており、国家研究機関と連携する実績があります。
製品は 国際的な試験機関(Spiez Laboratory、Brno Military Research Institute など)で評価されてきました。
CBRN化学剤検知管
-
製品の分類
CBRN対応 化学剤検知管 -
概要
化学反応または生化学反応による呈色反応を利用し、空気中(または表面上)の対象物質の有無を目視で迅速に判定する一次検知用の検知管です。 -
構造(箇条書き)
- ガラス製検知管
- 指示層(呈色反応により色変化)
- 比較層(判定補助)
- 試薬アンプル(破砕して指示層へ浸透)
- 検知管により、指示層が複数層(2〜3層)構成の場合あり
-
検知対象(分類)
- 神経剤(G系・V系)
- びらん剤(マスタード、ルイサイト等)
- 血液剤・窒息剤
- 無力化剤
- 催涙剤
- 有害工業化学物質(TIC)
-
DT10 神経剤
感度 0.5 mg/m3、G剤(GA, GB, GD, GF, GP, GV) -
DT11 神経剤
感度 0.5 mg/m3、G剤(GA, GB, GD, GF, GP, GV) -
DT12 血液剤・窒息剤
感度 5 mg/m3、ホスゲン・ジホスゲン、塩化シアン、シアン化水素 -
DT13 びらん剤(マスタード)
感度 1 mg/m3、硫黄マスタード(H, HD)、ナイトロジェンマスタード(HN) -
DT15 びらん剤(硫黄マスタード)
感度 3 mg/m3、硫黄マスタード(H, HD) -
DT16 びらん剤(ナイトロジェンマスタード)
感度 1 mg/m3(HN-3)、HN-1, HN-2, HN-3 -
DT14.1 びらん剤(ルイサイト)
感度 1 mg/m3、ルイサイト(L) -
DT20 無力化剤
感度 1 mg/m3、BZ(キヌクリジルベンザレート) -
DT21 催涙剤(CN)
感度 0.5 mg/m3、クロロアセトフェノン(CN) -
DT22 催涙剤(CS)
感度 1 mg/m3、クロロベンジリデンマロノニトリル(CS) -
DT27 催涙剤(CR)
感度 0.1 mg/m3、ジベンゾオキサゼピン(CR) -
DT001 ホスゲン
感度 0.5 mg/m3、ホスゲン(COCl2)、ジホスゲン -
DT002 シアン系
感度 3 mg/m3、シアン化水素(HCN)、塩化シアン(CK) -
DT003 塩素
感度 3 mg/m3、塩素(Cl2) -
DT004 酸化窒素類
感度 2 mg/m3、酸化窒素類(NOx) -
DT005 二酸化硫黄
感度 5 mg/m3、二酸化硫黄(SO2) -
DT006 硫化水素
感度 5 mg/m3、硫化水素(H2S) -
DT007 二硫化炭素
感度 20 mg/m3、二硫化炭素(CS2) -
DT008 アンモニア
感度 50 mg/m3、アンモニア(NH3) -
DT009 塩化水素
感度 10 mg/m3、塩化水素(HCl) -
DT010 ホルムアルデヒド
感度 0.5 mg/m3、ホルムアルデヒド(HCHO) -
DT011 一酸化炭素
感度 30 mg/m3、一酸化炭素(CO) -
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